2011-02-03 Thu 00:05
8月半ばのある日 一本の電話がかかってきました。
「あ どうも。以前お世話になりましたMです。実は自分の教え子の推薦でNHKのお仕事をわたなべさんに引き受けてもらえないかという話がありまして…」 その教え子(先生と生徒というよりも友達のような印象)九州の大学院でアニメーション制作で修士か博士課程にいらっしゃらる山元準一さん(通称山GEんさん)からメールがあり NHKのお仕事でお付き合いのあるディレクターさんが私の絵のテイストを気に入ってくださったらしいとのこと。(もともと山GEんさんが私を知ってくれていたこと自体が奇跡なんですよ!) 山元準一さんHP そこで最寄駅の喫茶店までお越しいただきお会いすることになったのが 撮影見学日記で いやになるほど…いえいえ 何度もご登場願いました西谷監督でございます。 すでにその時もう一本の仕事も抱えていたので どうしようかなあ… と多少の迷いはあったのですが 西谷監督は誉め上手なんです!すでにHPに載せてあった絵を見て 「こんな感じがいいよねえ!これもいいと思うんだ!そうだよな?」と一緒に来ていらした美術の方と話しておられ なんかこう こちらのやりたい意識をくすぐるというか いやがうえにも高めるというか さすがは監督 人を乗せるのが上手い。 かいつまんでお話してくださったドラマの内容も良さそうでしたし お引き受けすることに! (翌日から早速 原作本も読ませていただきましたが とっても読みやすいのに 色々な立場の人間の悩みを描けていて なおかつ ちゃんと心に残る いい本でした。) ***** で 実作業は無理のない範囲で A5サイズで40枚ほどのイラストを9月から10月初旬まで となったのでございますが では9月に入ってから仕事を始めたらええかというと そういうことではないのでございます。 まずは8月の間にキャラクターデザインを固める! これには難渋いたしました! メインキャラクターの伊東四郎さん 風吹ジュンさん 十代の百合子…これは 和久井映見さんと子役の子(その時はまだ決まっておらず)を足して二で割った感じ の似顔絵を描くわけですからね。私 似顔絵なんてほとんど描いたことないんでございます。 それでまあ 伊東さんや風吹さん 和久井さんの写真をネットで漁り 伊東さんなんか30代の時の映像まで探してきてですね(また あるんですね!これが!!ネット万歳!!…て これはものづくりする人間が言ってはならぬ言葉なような気もしますが) ラフに取り掛かったわけですよ。 伊東さんなんか ちょうどそのころサラリーマンNEOの特番で出てらしてですね。生瀬勝彦さんと専業主夫としてパンツの正しいたたみ方を会得したとかなんとか言いつつ 飲み屋で女性もののパンツをたたむ というそんなとこまで録画して デッサンしてたんです。 でね。 これが… 似ない! 特に 風吹さんが全然似ない! (左は一番最初に描いてみたもの。右は原作のイメージに近づけると言いますか 「もっとふっくら」という監督のメールに こういうことではないよなあ…?と思いつつ描いたもの。なんだか藤子不二雄Aさんみたいな絵に…(汗)) (段々現在の形に近づいていますが 監督のイメージに合ったのは右上の百合子と見つめあう乙美(風吹さん)の図でした。) 最初ぎこちないのは当たり前としても 何度か描いてもどうも違うような… でも まずは提出してみるか と 西谷Dにメールでお送りするとですね やっぱりこちらがちょっとでも自信がないというのは 伝わるんですね。夜半に送ったはずなのに すぐにメールが返ってきまして「こうこうこう違う」という指示が来るんですよ。「目が少し暗めなので もう少し明るい感じで 風吹さんのぱっちりと大きめの目の感じが欲しいです。」とかね。 う?ん そうなんだけどなあ。今は ここまでだなあ…。また 明日にでも描いてみたら 気分も変わって 冷めた視点で良いものが描けるかもしれないなあ。などと思いつつも まだこねくり回していると 再び西谷Dからのメールが送られてくる。しかもあとからあとから次々と…!! 「ふっくらと言っても 漫画家が自画像を描く時に自分を多少不細工気味に描く あんな感じと 「お母さん」のイメージとしてのふっくらで…でも一見して風吹さんだと思えることも重要です。風吹さんは目と眉毛とあごと鼻に特徴があります。写真を貼付しますので その似顔絵を描いて頂き それをわたなべさん流に、そして乙美風なおかあさんとしてのイメージを付け加えてはどうでしょうか?乙見さんのイメージは大事なので粘って下さい。」 「添付した(わたなべさんの)絵をを風吹さんにもっと似せて 顔を長くせずにややふくよかにすればどうでしょうか?」 「二度目に送っていただいたものは、演技ができないタッチに確かになっています。 一度目のものを風吹さんに似せて、温かいオーラと年齢とややふくよかな感じが出せたら良いのだと思います。 最初に送っていただいたものを改良していくのが良いと思います。」 いや… ちょっと待って… 今 あなたの最初のメールをもとに直してるんです。追加の説明まで入れたらごちゃごちゃになるかも… とか 思ってたら ついには電話がかかってきまして 「風吹さんのイメージはねこうこうこういう感じなんですよ 送っていただいた中で これは良いと思うんですけどねえ でもこっちではないです。」 電話は凄いです。 声のニュアンスで メールでは伝えきれなかったことが一遍に伝わります。 最初から電話にしとけばよかった…(T_T)。 その後も風吹さんには最後の最後まで難儀しつつ なんとかかんとかOKを頂くことができたのでございます。 この時点で 9月の一週目くらい。実作業時間はちょっと押しておりました。 →→→ 乙美の進化(変化?)図 ***** 伊東四郎さんに関しては かなり最初の方からオッケーをもらってました。 男の方というのは 女性の私からすると特徴をとらえやすいんですね。特に伊東さんは個性あふるる方ですからねw(笑)。描けば描くほどちょっとした余裕まで出てきて コミカルなカットを描いて楽しんだりしていました。あと あまり練習なしに描くことになった百合子の夫役の宅間孝行さんも一発OKでした。 (まだまだ初期の段階ですが これだけは言えます。メガネを掛けないと似ないんですよね?。) 百合子ですか? イラストの中の百合子は 10歳から13歳くらいを想定していたし 実際の子役がいるわけではないので 意外と自由にかけたんですね。(目のちょっとしたライン一つで漫画っぽくなってしまうからダメ出しが出たり 細かいところで指示はありましたが 風吹さんより断然楽でした。) 小さい百合子に関しては 子役の子がなかなか決まらなかったこともあって 最後の方になって決まった 畠山彩奈ちゃんの写真をさがして 似せようとしたりしましたが 一、二枚だけでしたし 私のいつもの絵になってしまいましたね。ごめんなさいね。 そして 和久井さん。練習はしたんですよ。和久井さん 『ちりとてちん』からのファンでしたし できるだけのことはしたいと思ってました。で しました。ですが 似たな と 思える絵と う?ん という絵と両方できてしまったかも…m(_ _;)m (この辺になってくると もう実作業との並行作業でしたのでキャラクターを詰めることだけに時間をかけてもいられないんです。) 女優さんが難しいのってなんででしょうかね? 男性のようにちょっとカリカチュアが入っても構わないや という気軽さでは描けなくて やっぱり綺麗に描きたいという部分と 特徴をとらえて目鼻立ちを強調するというかいじるというか そんなことが ぶつかってしまうんでしょうか? いや そんなことは私の言い訳でしてねえ。 山藤章二さんやったら そんなことないんでしょうが。 ともかく 色々な顔立ちの人を描く という大変勉強になったお仕事でした。 (フラメンコとフラダンスを間違えた…) →後半へ続く ***** 四十九日のレシピ 平成23年2月15日(火)全4回 総合 夜10:00?10:48 公式HP 後藤プロデューサーブログ スポンサーサイト
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とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。 ありがとうございます♪(´ε` ) |
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