fc2ブログ
柳家小三治さんの訃報
2021-10-10 Sun 23:25
10月7日、柳家小三治さんが亡くなりました。数年前に頸椎の手術をして復活したばかり、という気がしていただけに、早すぎるだろう!と残念でなりません。(他にもリウマチや腎臓も悪かったらしいのだけど。)昨年、コロナで一時期仕事ができず、ようやくまた高座に上がれるようになったというドキュメンタリーも最近見ました。だから、これから、という気持ちでいたのです。今は、子育てもコロナもあるので落語会には行けないけれど、もう少しコロナへの対応が落ち着いてきたらまた聴きに行きたいな、とも思っていました。もっと活躍して頂きたかった。

小三治さんの落語を初めて聴いたのは、高校生の頃だったかしら。テレビで『かんしゃく』という演目をやっていました。明治ごろが舞台の噺で、家の中のことに口うるさい主人の言動が面白おかしく、録画したビデオテープを何度も観たものです。それから『死神』もテレビで見た記憶があります。滑稽な物語の最後に、死神の底知れぬ恐ろしさが出ていてゾッとしたものです。

その時はまだ、それ以上に落語熱が熱くもならず、そのまま過ぎていったのだけど、2009年以降、桂よね吉さんの落語を聴いた事がきっかけで落語を生で聴いてみたい!という想いが強くなり、小三治さんの落語も何度か聴きに行きました。横浜にぎわい座で聴いた時は、『初天神』の子供のあどけない仕草や凧上げの生き生きとした仕草にリアリティを感じ、いいなあと思ったものです。

小三治さんの落語を聴くにつれ思うことは、この人の噺はその時代の空気が立ち上がってくるような気にさせられる、ということ。人物にリアリティがあり、どこかにいそうだよね、こんな人、と思わせてくれ、自然と笑いが込み上げてくる、そこはかとない笑い。決して笑わせよう笑わせようとする笑いではない。そして、その人が生きている空間や空気が伝わってくる感じがします。『野ざらし』で釣りにやって来る男の鼻歌の自然さ、『出来心』で何でもかんでも泥棒に盗まれたと主張する男が、馬鹿の一つ覚えで盗品は花色木綿だと言ってしまう滑稽さ。

ただ、まくらが面白いということを理由に、まくらばかり長々と演って、残りの10分くらいをお得意の『小言念仏』で済ませられてしまった時もあり、がっかりした事も。

2018年に高畑勲監督が亡くなった時、お別れの会に小三治さんも出席されていました。高畑作品、『ホーホケキョとなりの山田くん』でナレーションを務められていたし、ジブリでは毎年小三治さんを招いての落語会が開かれていたというから、長いお付き合いがあったのでしょう。丁度その日の夕方、私は小三治さんの落語会に行きました。小三治さん曰く、「自分はお葬式(か、お別れ会だったかも)に行くのは好きではない。そんなことをしても、残された者の自己満足にしかならないし、死んだ当人は分からないよ。」と。葬儀は密葬とのことで、小三治さんらしい去り際だと思います。合掌。

(「小三治師匠」と呼ぶべきなのかも知れませんが、親しみをこめてあえて「小三治さん」と書くことにしました。)
スポンサーサイト



別窓 | 落語 | コメント:0 | トラックバック:0 |
春風亭小朝独演会、行ってきました
2019-02-03 Sun 23:39
節分の2月3日、青葉公会堂で開かれた春風亭小朝独演会へ行って来ました。なかなか面白かったけど、正直、私にとっては柳家三三さんや桂吉弥さんの方が惹かれるなぁ。なんだろう。熱量とか勢い、みたいなものなのだろうか。そういえば、小朝さんの声はとても小さかった。

『マスク』警察の取り調べ室での刑事と、人を階段から(?)突き飛ばしたという今時の若者との会話。若者の方は人前に出るのが苦手で、絶えずマスクをしている、という設定だが、この噺は大正時代の作らしいので意外だった。また、まくらで説明しておかないと、最後のオチが成立しないところが少し気になった。(普通、まくらで説明しないとオチが分かりにくいというのはあるが、オチが全く成立しない、というのは初めてかも)

『ある理由』あるサラリーマンが、会社の上司の葬式に出なかったことを、バーテンダー相手に悔やむ、という筋書き。色々と地口が用意されていて楽しい。

二胡演奏(KIRIKO)『蘇州夜曲』や『夜来香(イェ ライ シャン)』など、ゆったりとした大陸的な曲や、モンゴルの騎馬民族をイメージした、早弾きの超絶技巧を駆使した曲など、二胡の色々な面を知ることができた。

『紺屋高尾』ほぼ同じ筋書きの『幾代餅』は聞いたことがあるが、『紺屋高尾』は初めて。最初に、恋煩いの主人公に病の訳を聞く所から始まるのではなく、主人公が仲間と吉原に行く所から始まるのは、独自の演出なのだろうか?それから、病の訳を聞いて、三年働いてお金を貯めて高尾太夫に会いに行けと助言するのは、親方ではなくおかみさん、というのもそうなのか。好きな花魁に「駄染め」と自分の紺屋の商売を馬鹿にされ、紺色を染めるのがいかに大変か、切々と訴える場面は、(やはり小朝さん自身の演出なのでは、と思うのだが、)主人公の悔しい気持ち、辛い気持ちがよく現れていて良い運びだった。

今回は新作よりも古典の方が、工夫の跡が分かりやすく、楽しめたかな。そんな所です。

51426777_2006843752686335_7348050828495683584_n.jpg
51272908_2006843769353000_7219891083147214848_n.jpg
51489549_2006843802686330_7288178189820493824_n.jpg

別窓 | 落語 | コメント:0 | トラックバック:0 |
噺家似顔絵 その2 桂しん吉さん
2012-09-23 Sun 00:03
20120922_しん吉さんS

噺家似顔絵第二弾は吉朝一門でよね吉さんの弟弟子、桂しん吉さんでーす。
乗り鉄で、最近は撮り鉄も少々たしなむようでございます。

上の絵は、機関車柄の手ぬぐいでしん吉さんが噺してるシーン。想像図ですよ。
「しゅっ   しゅっ   しゅっ  しゅっ …」とか言うてるのかなと思いますが、おそらくご本人やったらもっとリアルな音を出されるのでしょう(笑)。

筆文字も上手いし、手ぬぐいのデザインも活かしてるし、写真も上手い。
そんなしん吉さんのオフィシャルサイト「しん吉君いろいろと大変ねぇ。」はこちら。
http://k-shinkichi.net/

次、東京来てくれるのは11月16日です。
別窓 | 落語 | コメント:0 | トラックバック:0 |
乗り鉄しん吉落語会 vol.11
2012-09-06 Thu 00:24
P9064181S.jpg

久々にしん吉さんの独演会を聴きたいなと思って、彼のブログで9月6日と知ってからずっと楽しみに待ってました。で、私はとにかく行きたいものがあると、先にチケットを2枚買ってしまう人なので、今回は一緒に行く人を見つけるのが一苦労(笑)。

相方さんは仕事が忙しくて行けない、母はお客さんが来るので行けない、そのあと一緒に行ってくれそうだった人もダメで、二転三転して結果的に友人夫婦お二人が参加するということで、一人増えて来てもらうことが出来まして、これはこれで良かったなと。

P9064184trimmedS.jpg

最初は、しん吉さんが名古屋での仕事の後、塩尻周りの信州経由(小海線、高崎線を乗り継ぎ)で東京へ来た鉄道トークをして、その後「鷺とり」「崇徳院」と爆笑噺をしてくれました。ちょうど友人の奥さんの方が最近「ちりとてちん」にはまっていたので、「崇徳院」の全篇を聴けてとても喜んでいました。

「鷺とり」の時はしん吉さん、ちょっとまだ固い感じがしたんですが、だんだんに客席が暖まってきて調子良くなりまして。アホな男が知恵を絞って考えた雀捕りの方法や鷺捕りの方法が奇抜すぎて素敵だ。動物好きの自分にはたまらないネタでした。最後の方は鴨捕り権兵衛みたい。

「崇徳院」。お互い名前も住所も知れない男女の仲を取り持つために、手伝い(てったい)の熊五郎が歌の上の句だけを頼りに相手の女性を探す話ですが、考えてみるとこの若旦那と女性は美しい恋のやり取りをし、ああ、会いたしと思い詰めるという切ない話ですが、熊五郎にしてみたら三日三晩ずーっと捜し歩いてるんですからたまったもんじゃありません。しん吉さんの演じるおかみさんがなかなか厳しくてよろしい(笑)。爆笑もの。しん吉さんの落語はあっさりしているんですが、渋さがある。後味さっぱりな清涼飲料みたい。でも、鉄分はたっぷりです(笑)。

そうそう、まくらにはもうひとつ面白い話が。撮り鉄梅団冶さんとその息子さんと一緒に仕事で11日間旅をした時の梅団冶さんの撮影への執念が面白かった!!



その後、なんとサプライズで出演されたのが、笑福亭鶴瓶師匠!

P9064188_trimmdS.jpg




ネタおろしで師匠の師匠の十八番だった「一人酒盛」を演ってくれはりました。

会場割れんばかりの拍手!
(40人しかおらんのに)

しかし、鶴瓶師匠って凄いですね!
テレビに出てるときの顔とまるで別人というか、一人の噺家としてすごく円熟しているというか…。「一人酒盛」の演じ方でも、酒飲みの男は飲む前からちょっと我儘なとこがある、ということが友達とのやり取りでわかるんです。そのあと、「持つべきものは友達や」と例の鶴瓶師匠スマイルでにっこ~っと笑うたり、「はよ、つがんかい!!燗せんかい!!」とどやすときの豹変ぶりがど怖かったり、本当に上手で。

うーむ。こんなにすごいとは知らなんだわあ。
(楽屋から出てきたとき、短パンの前が空いてたけど)

友人夫婦もしん吉さんとサプライズとの両方に大満足で、こちらも嬉しかったです。


P9064195S.jpgP9064196trimmedS.jpg

しん吉さんや鉄のお仲間と飲み会へ行く途中、仲見世通りのアーケードからスカイツリーが見えた。


P9064201S.jpgP9064205S.jpg

鉄道バー「キハ」。一階と二階に分かれていて、二回は列車の内装を模した作りになっている。長いシート座席なんかがあたりして大変愉快。鉄仲間の方には、本業の方がたが結構いるんだなあとびっくりしました。

P9064221S.jpg
P9064220S.jpg

いい顔してるなあ、しん吉さん。


P9064211S.jpgP9064224S.jpg

P9064237S.jpgP9064212S.jpg

P9064245S.jpg

バーの助役さんと。
別窓 | 落語 | コメント:0 | トラックバック:0 |
噺家似顔絵 その1 桂よね吉さん
2012-08-11 Sat 19:20
20120807_yonekichiS.jpg

米朝一門の故吉朝師匠の弟子、桂よね吉さんの似顔絵。似てるかな?
別窓 | 落語 | コメント:7 | トラックバック:0 |
| からすのつぶやき ふたたび | NEXT