8月25日、江戸東京博物館の大妖怪展、常設展示、
伊藤晴雨幽霊画展をはしごして見てきました。
朝早くから行ったので、大妖怪展は混雑することなく見られました。
大妖怪展、個人的には、北斎が描いた狐狸が坊主の格好をしている絵(タイトル忘れました)と
河鍋暁斎の「明鏡倭魂新版」が好きでした。僧侶姿の狐は袈裟が風になびいている様が
哀愁を感じさせますし、狸の僧は何やら思案しているのですが、バックに茶釜があるのが
ユーモラスです。「明鏡倭魂新版」は鏡でビカビカっと光を放ち妖怪を退散させる、という
絵なのですが、その妖怪の中には西洋のものもいて、当時の風刺雑誌
「ジャパン パンチ」の妖怪、パンチの守がいたり、七面鳥が洋服を着たようなのもいて、
明治の時代を感じさせます。
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絵はクリックすると拡大されるものがあります。
図録を買わなかったので名前が分からないものだらけなのですが、
オリジナルの「百鬼夜行絵巻」(伝土佐光信)という貴重なものも展示してあったり、
六道絵というのかな、赤い地に円弧を描くように人が生を受けてから死ぬまでを描き、
その真下には仏様と救われた人々が集い、それ以外の部分には地獄で責め苦を
受けている人々の絵、というのもありました。

「百鬼夜行絵巻」
また病気を起こす妖怪の図鑑もあって、「姫国山海録(きこくせんがいろく)」には
ミジンコみたいな妖怪が、また「針聞書(はりききがき)」などという図鑑もあり、
妖怪が可愛らしく描かれていました。

「姫国山海録」

茨木元行「針聞書」
国芳の三枚つづりの絵で、骸骨で有名な「相馬の古内裏に将門の姫君滝夜叉妖術を以て
味方を集むる大宅太郎光国(おおやのたろうみつくに)妖怪を試さんと爰ここに来り竟
ついに是を亡ぼす」、
義経の船が大荒れの海の上で平家の亡霊に苛まれる「大物浦平家の亡霊」の絵、
大きな魚の絵で銀色の烏天狗が何羽も羽ばたいているというものなども面白かったです。
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ある絵には閻魔様と同じような格好をした人たちが閻魔様と並んでデスクを構えている、という
ものもあって、これは皆地獄行き極楽行きを決める同僚なのか、中間管理職みたいなもん
なのかななどとくだらぬことを想像してしまいました。
それから肝の据わった男の子を脅かそうと毎晩妖怪達が代わる代わる男の子の枕元に
やってくるのですが、全く驚かないという絵巻物「稲生物怪録絵巻(いのうもののけろくえまき)」も
良かったです。素朴なタッチで描かれていてこのまま絵本にできるのではないかという感じでした。

さて、常設展示は江戸から東京まで、主に江戸の風俗を詳細にみられるという場所でした。
5階と6階が展示スペースなのですが、まず初めに大きな橋を渡って、江戸の世界へと
誘われます。そして江戸のミニチュアがいくつかあって小さな人形が所狭しと配置され、
江戸の町の生き生きとした町の様子を伝えていました。双眼鏡が置いてあって、
遠くの小さい人物が何をしているのかのぞけるようになってました。
個人的には二八そば屋の屋台を見たいと思っていたので、その模型もあり、収穫がありました。
なんでそば屋の屋台を見たかったかというと、落語に「かぜうどん」という噺があり、
うどん屋がうどんを作るしぐさがあるので、どこにどんぶりがあってどこでうどん
(そばでも同じだろうと想像)を茹でて、どこに七味を入れてあるのかなど知りたいと
思っていたからです。
また長屋の中を見られたことも収穫でした。
こちらのほうが「大妖怪展」よりも時間をかけて見ましたよ。
「伊藤晴雨幽霊画展」はこの方の描く女性が清楚で可愛らしく美しいので、
幽霊画ということを忘れそうになりました。確かに黒猫が棺桶の上に乗っかっていて
棺桶の蓋が開きかけて、中の亡霊が今にも飛び出してきそうに棺桶のふちに手をかけて
こちらを覗いているなんて怖いのもありましたが。


