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「落語で歌舞伎入門」に行ってきた
2018-08-29 Wed 23:00
草月ホールにてほぼ日主催の「落語で歌舞伎入門」を聴きに行ってきた。
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落語を通じて忠臣蔵を学ぼう、というもので、落語を演じる桂吉坊さんは米朝一門の中の吉朝一門の方。37歳だそうですが、上手い!見た目は年齢よりもずっと若く見えて、昔はもっと少年のようで、声も高く、それがハンディかなと思っていたのだけど(勝手なこと言ってすみません)、最近は声が低くなってきて、落ち着いた雰囲気で聴くことが出来た。
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今回は、早野龍五さんの解説と吉坊さんの落語で授業が進むのだけれど、吉坊さんのウェイトがかなり重い会で、芝居噺を3席と踊り、そして普段は歌舞伎で演じられることの少ない8段目~10段目の解説も吉坊さんだった。
3席(『質屋芝居』、『狐芝居』、『七段目』)とも力演で、芝居のシーンを見事に演じ切り、まるで芝居の登場人物がそこにいるかのように感じるほどキャラクターの演じ分けができていた。
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『質屋芝居』では、熱演で観客を芝居の世界に浸るだけ浸らせておいて、時折すっと現実に戻る、そのギャップが話を面白おかしくさせていた。具体的に言うと、質屋の丁稚が蔵に品物を取りに行くのだけど、蔵の中でお客さんの質草を使って忠臣蔵の芝居をやる。その間、観客はずっと芝居の話に聴き入っているのですが、ふと、「わしの紋付まだでっか?」というお客の声で現実に戻る、というもの。
『狐芝居』では大部屋の役者、尾上たにしがラストに狐に礼を言うシーンがあるが、そこでは一生主役をやることのないだろう下っ端役者の切なさが伝わってきた。
あと、これは全ての演目に言えることかもしれないけれど、吉坊さんの落語はセリフに無理がないというか、演じ方が自然と言うか、登場人物の言動すべてに理屈が通っている感じがした。『七段目』も、私が大好きな落語家の桂よね吉さん(吉坊さんの兄弟子)なら、オーバーにやる仕草も、吉坊さんでは控えめで、それでいて納得のいく演じ方だった。例えば、家の二階で若旦那と丁稚の定吉が立ち回りを演じているのを、下で親旦那が聞いていて、煙管を手にあきれるシーンがあるが、よね吉さんは煙管を口の中に入れつつカタカタとオーバーに指で震わせていたが、吉坊さんのは口に入れることなく、ぶるぶると手を震わせることによって親旦那の怒りを上手く表現。よね吉さんの方は滑稽だけれども、どうしてそういう仕草になるのか分からず、多少違和感を感じていたのだけど、吉坊さんの演じ方はすっと自然に入ってきた。落語についてはそんなところ。
あとは、早野龍五さんの川柳を使っての解説も良かったし、解説パンフレットについてきた飴が歌舞伎色で楽しい。
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授業が始まる前、ホールの外で三味線の方(おそらく落語でお囃子をなさっている方)が曲を奏でていたのが、ちょっと印象的だった。
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