節分の2月3日、青葉公会堂で開かれた春風亭小朝独演会へ行って来ました。なかなか面白かったけど、正直、私にとっては柳家三三さんや桂吉弥さんの方が惹かれるなぁ。なんだろう。熱量とか勢い、みたいなものなのだろうか。そういえば、小朝さんの声はとても小さかった。
『マスク』警察の取り調べ室での刑事と、人を階段から(?)突き飛ばしたという今時の若者との会話。若者の方は人前に出るのが苦手で、絶えずマスクをしている、という設定だが、この噺は大正時代の作らしいので意外だった。また、まくらで説明しておかないと、最後のオチが成立しないところが少し気になった。(普通、まくらで説明しないとオチが分かりにくいというのはあるが、オチが全く成立しない、というのは初めてかも)
『ある理由』あるサラリーマンが、会社の上司の葬式に出なかったことを、バーテンダー相手に悔やむ、という筋書き。色々と地口が用意されていて楽しい。
二胡演奏(KIRIKO)『蘇州夜曲』や『夜来香(イェ ライ シャン)』など、ゆったりとした大陸的な曲や、モンゴルの騎馬民族をイメージした、早弾きの超絶技巧を駆使した曲など、二胡の色々な面を知ることができた。
『紺屋高尾』ほぼ同じ筋書きの『幾代餅』は聞いたことがあるが、『紺屋高尾』は初めて。最初に、恋煩いの主人公に病の訳を聞く所から始まるのではなく、主人公が仲間と吉原に行く所から始まるのは、独自の演出なのだろうか?それから、病の訳を聞いて、三年働いてお金を貯めて高尾太夫に会いに行けと助言するのは、親方ではなくおかみさん、というのもそうなのか。好きな花魁に「駄染め」と自分の紺屋の商売を馬鹿にされ、紺色を染めるのがいかに大変か、切々と訴える場面は、(やはり小朝さん自身の演出なのでは、と思うのだが、)主人公の悔しい気持ち、辛い気持ちがよく現れていて良い運びだった。
今回は新作よりも古典の方が、工夫の跡が分かりやすく、楽しめたかな。そんな所です。


