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イワト寄席 吉朝一門会 at シアターイワト(9月29日)
2010-09-29 Wed 23:55
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この日の舞台は 昔のアングラ劇団で有名な黒テントの舞台 シアターイワト。神楽坂のど真ん中にあるモダンな空間です。でも 実はこの建物 老朽化のせいで今年限りで役目を終え 黒テントの母体も別の場所に移動するそう。移転先でも吉朝一門会を開いてもらいたいものです。

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開場1時間ほど前には一人しか待ってなかったのが ちょっと夕飯を30分前に食べて戻ってきたらもうこの列です。


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それぞれの名前になると めくりの字体がロシアンアヴァンギャルド風で面白いかったです。

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<佐ん吉:阿弥陀ヶ池>

「お前は新聞を読まんから世間のことを知らん」と新聞を読んでる男が 新聞を読まん男に「こんな話知ってるか?」と教えてくれた二つの殺人事件の話が全部嘘。新聞を読まんほうの男は からかわれたと悔しがりながらも これをネタに他のやつらをだましてやろうと真似をするんですが なかなかうまくいかん。挙句は本当の話と勘違いされ しかも 殺されたのが自分の義弟やと思った相手がおろおろして大変な騒ぎに。「すまん。嘘や。」と謝ったところ 「一体誰からこんな話をしに行けといわれた?」と問い詰められ 一つ目の話のサゲ「阿弥陀が行けといいました」と言い訳するという噺。

佐ん吉さん とんとんとーんと話のテンポが良かったなあ。

<吉坊:兵庫船>

吉坊さんは普段聞かないような旅もののお話を一つ。サゲがきれいに終わらないとか 今では分かりにくいという理由でお蔵入りになってしまいがちな題材を聞かせてもらえるのは ファンとしては嬉しい限りですね。

これは喜六と清八の西の旅の話のひとつだそうで 兵庫から船で大阪まで渡る途中の物語。

最初は船と嫌がる喜六と清八の会話から始まりますが 途中 乗りあった人たちの生まれの紹介やら 時間つぶしの言葉遊びやらが入るのが楽しい。その間は 喜六や清八は主人公から一時はずされますので ちょっと「あれれ?」と思うこともあるのですが まあ その辺りの緩さは逆に落語らしくのんびりしてて好きですね。

この噺の最大の見せ場は フカに魅入られ(フカが「み(魅?身?)」を入れた という言い方をしてました) 食べられそうになった巡礼の女性を 肝の据わったおっさんが助けるところ。
フカに大?きく口をあけさせ そこへ タバコの火をほうりこむと タバコの匂いの大嫌いなフカはまだずずーっと海中深く沈んでしまう。一体このおっさんの正体はなんや?と皆思ってたら かまぼこ屋やった というオチです。

ここの主人公も喜六たちではありません。

吉坊さんの声色の使い方の巧さに感心。地声は結構高いのに(あ でも29歳になられて声のトーンが低くなった?) 船頭さんの声になると太くなり フカの声になると何故か可愛らしいきいきい声になったりして 自由自在に人を演じ分けてましたね?。さすが!

<中入り>

<あさ吉:茶の湯>

おっ あさ吉兄さん 今日はまくらから調子がええですね!

なんて あさ吉さんの落語を聴くのは二度目なので 偉そうなことを書ける身分ではないのですが 前回はなんだかまくらの時の観客の雰囲気がぴりぴりとしてたのでお話も落ち着いて聴けなかったところ 今回は滑り出しから受けてたので ええやないですか!と。 

英語落語を世界で色々やってきて 「もう 結論は出ましたね」と。

シカゴでやったときには 前座の自分を紹介するのに アメリカ人の司会が出てきて"Ladies and Gentlemen, now we are presenting Rakugo performer, Asakichi Katsura!"というんだそうで。最後のとこ 盛り上げて「アサキチ? カツ?ラ?!!」というんですが あさ吉さん側はいつものように出囃子にあわせて背中丸めて腰低く出てくるという盛り下がりぶり。同行した三枝師匠の場合は 日本語に英語字幕という形でやったので 師匠の落語が受けているのか 字幕が受けてるのか分からなかったとか。

ブルネイでやったときには イスラム教徒の人たちなので 女性は皆被り物をしてる。自分は目ばっかり相手にしながら落語やらなくていけなかったとか ブルネイの大臣の目と鼻の先で『動物園』という落語の虎の役をやり 相手とばっちり目が合ってしまったとか。

「落語は日本でやるのが一番です」

そらそうやろうけど…(^^;)



演目は落語ファンなら御馴染みの茶の湯です。仕事仕事でこれまでやってきて風流なことの一つも知らん御隠居さんが(なんか高度成長期のサラリーマン世代みたいですね) これまた何も知らない丁稚の定吉とお茶の真似事をするのですが 万事が万事間違っているというお話です。

お茶の葉っぱの変わりに青黄な粉 泡が立たないので椋の皮(石鹸のようなもの)を入れます。二人して毎日飲んでおなかを下して…。これではつまらないので お客を呼ぼうと言うことになりますが 呼ばれた長屋連中がお茶を一口飲んだときの表情が可笑しかった!あさ吉さん上手い!


<よね吉:狐芝居>

まくらは 筆頭弟子なのにトリを取りたくないというあさ吉さんについて。噺家は自分に合わん職業やというあさ吉さんのなりたいものは植木屋(^^;) 自分のことを言うからよね吉とは一緒に出たくないという まるで子供のような対応。そんなあさ吉兄さんをよね吉さんは大好きだとかで。あさ吉さんは普段でもよね吉さんにいじられているんだろうか…?

もう一つのまくらは 自分があんまり東京へは来ない理由。
新幹線のひじかけ。あれはどちらがどちらの席の人のものなんでしょう?あれは気の強い人の勝ちでしょ?二つ作ればいいのに 謎や…と考えてしまうと 新幹線きらいっってなってしまうんですって。

また あるとき東京でカプセルホテルに良く泊まっていた頃 深夜サウナに入っていたら 頭つるつるで体ムキムキのヒゲの大兄(おおあに)さんが入ってきて真後ろに座られ どうも目をつけられているような…。早々にサウナを出て体を洗っていたら その人も出てきてやはり真後ろに座っている。カプセルホテルの個室には鍵がない!!何階に泊まっているかを示すプレート(腕にはめている)を見られては大事やと 片手で体を洗って外へ出ようとするとそのムキムキが自分の前に立ちはだかっている。自分の男としての人生終わりやと目の前真っ暗になったそのとき その人がすっと道を空けてくれた。ほっとして通り過ぎざまに振り向いたら その背中には「男命」!

狐芝居とは全く関係のないまくらだったなあ…(苦笑)。



本編の狐芝居は 待ってました!という感じ。

歌舞伎の大部屋とか三階さんなどと呼ばれている脇役の人たちは 決して主役にはなれない。それでも 歌舞伎をやり続けているのは 芝居が好きで好きでたまらなく その場にちょっとでもいたい という気持ちがあるからで…。そんな 大部屋の役者がよその土地から大阪へ戻る道中のこと 稲荷山の峠近くで 狐たちの忠臣蔵の芝居を見てしまう。場面は 四段目 塩治判官切腹の場。怖ろしいけれども 好きな芝居。その場を離れられない役者。しかし 判官さんが腹をついても 現れるはずの大星由良の助が現れない。そこで…という話。

ベースは吉朝師匠のものをそのまま受け継いでいましたが 芝居がかった部分はより歌舞伎らしくデフォルメされていて よね吉さんの歌舞伎好きをよく表していました。第一声の「いかに 親父。ここから次の宿場まではいかほどの道のりがあろうのう?」というところから もう声の出し方が歌舞伎になってるわ。吉朝さんのは もうちっとあっさりしてました。

塩治判官切腹の場での 薬師寺次郎左衛門のイケズぶりもテレビの悪代官か大黒屋のようにいやらしく(笑) 判官さんが大星はまだかと尋ねる場面での「きっ」と目をむく仕草は男前に また 死の間際に大星に無念を晴らしてくれと暗に頼むときの頬のひくつきはこれまたリアルで これはもう落語 として 引いた目で舞台を見ることはできず 本物の芝居を見ているようで圧倒されっぱなしでした。

しかし 落語ってここまでリアルに表現せねばならないものかいな というと そうでなくても面白い演出はあるはずで よね吉さんのはドラマか何かを見ているような気にさせられるほど 細部までリアルなんですよね。カメラの位置で言えば 落語はロングショットが基本だけど ドラマはクロースアップが基本というか。よね吉さんのは終始クロースアップで物事を見せている感じがしますね。だから 暑苦しいと感じる人には暑苦しいか?

最後に誰もいない壊れかけたお神楽堂前の草原で 役者が「わし 夢見てたんやろか…?いや…わし 演ってたんや。狐の芝居で大星由良の助を演ったんや…!」と言いながら 自分の手のひらをじっと見つめる演出も同じく。そうか 狐芝居ってこんなところでもじーんとくることができるのか と 驚いてしまいました。 

いや 賛否色々なことを考えてしまうわけですが やっぱりこの人は巧い!し 凄い!
 
ごじゃごじゃ言うてても 毎回よね吉さんの東京公演には駆けつけてるんで…。



<高座のはねた後のご挨拶>

この日は 初めて差し入れなしで楽屋裏にお邪魔しました。楽屋裏イコール舞台裏のような感じで 木の骨組みとか見えてました。

以前 よね吉さんが興味があるといっていた 東京の30代くらいのたいこもちさんについて この方ではないですか?とプリントアウトしたものをお渡して 「実は今 この方を呼んでのお座敷に行きたい人を呼びかけてるんです。10人くらいいたら一人一万円強で行けるんですが よね吉さんも仲間に入ってくれませんか?」とずうずうしくお願いしてみたところ 「日取りが合えばええんやけど なかなか東京に来ませんからねえ」と。

「なんでもっと東京に来てくれないんですか?」

「そやから新幹線の肘掛が…」

新幹線のデザインする方ー!!!次の設計は 隣同士の座席には肘掛二つつけてくださーい!!!!

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イッパチのことを「かあくん」と呼んでくれたよね吉さん。「かあくん」ちがうんですけど…ね。

それにしても 御挨拶長過ぎた…?う?う?う?…。ごめんなさい…。

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